エンディングノートの選び方・書き方 ~体験から考えたメリットと注意点~
最近、「エンディングノート」という言葉をよく耳にします。
これは自分の最期や財産、希望などをまとめておくノートで、終活の一環として広まりました。
私自身も葬儀の現場で何度かエンディングノートに関わる機会があり、その良さと課題を実感しています。
エンディングノートとは?
エンディングノートは、自分の葬儀の希望や財産のこと、連絡先、医療の意思表示などを書き残すためのノートです。
遺言書と違い法的効力はありませんが、家族に自分の意思を伝えやすくするツールとして注目されています。
日本では2000年代前半から少しずつ広まり、2000年代後半以降は書店や葬儀関連施設で広く見かけるようになりました。価格は 1000~2000 円ほどが一般的です。
私が経験したエンディングノートの活用例
以前、あるご家族の葬儀を担当した時、故人はエンディングノートを遺言に近い形で残していました。
そこには「葬儀は家族だけでシンプルに行ってほしい」、「好きだった花の百合を使ってほしい」、「お墓は作らず散骨を希望する」といった具体的な希望が書かれていました。
結果としてご家族は、ノートの内容を尊重し故人の望んだ通りに葬儀を執り行い、とても満足されていました。
故人の意思が明確だったため、家族間の意見の食い違いもなく穏やかな式になったのです。
エンディングノートの良いところ
- 家族への意思伝達がスムーズになる
- トラブルの予防になる
- 自分の想いを整理できる
- 葬儀や医療の希望を具体的に示せる
一方で、課題もあります。
たとえば私が経験した中には、「エンディングノートの内容を守らなければならない」と逆に家族がプレッシャーを感じてしまうケースもありました。
法的拘束力がないとはいえ、書かれたことが強く家族の負担になることもあります。
たとえばノートに「葬儀は簡素に」と書いてあったのに、親族が「盛大に送りたい」と意見が分かれた場合、揉める原因になることも。また細かすぎる指定がかえって家族の判断を難しくする場合もあります。
具体的な書き方のサンプル例
- 葬儀について
「家族だけの小さな式にしてください。花はカサブランカを使ってください。」 - 財産について
「預貯金は長男に相続してもらいたいですが、相談の上調整してください。」 - 医療・介護の希望
「延命措置は望みません。尊厳ある最期を願います。」 - 連絡先・重要書類
「生命保険証券は机の引き出しにあります。」
まとめ
エンディングノートは、自分の意思を家族に伝え将来の混乱を減らす大切なツールです。しかし書き方や内容によっては家族にプレッシャーを与えることもあります。
だからこそ書くときは「具体的に、でも柔軟に」を意識し、家族とも話し合いながら進めることが大切だと感じます。
もしこれからエンディングノートを書こうと考えている方がいれば、使いやすさや内容のバランスをよく考えて選び定期的に見直すことをおすすめします。