尊厳死宣言書と延命治療の意思表示とは|自分らしい最期のためにできること
最近、医療が進んで命を長くつなぐことができるようになりました。でもその分、自分はどんな最期を迎えたいか?を考えることも大切になってきます。
そこで出てくるのが、尊厳死宣言書や延命治療の意思表示です。
尊厳死宣言書や延命治療とは
簡単に言うと、これは自分が延命治療を受けるか受けないか、どこまで医療してほしいかをあらかじめ伝えておくための書類や手続きです。
尊厳死宣言書は「無理に生命維持措置はしてほしくない」とはっきり書くもので、延命治療の意思表示はもう少し幅広く、「どの治療まで受けたいか、どこでやめてほしいか」を伝えるものです。
日本では1980年代ころから尊厳死や終末期医療についての議論が本格的に広がり、1990年代以降、学会や医療現場でガイドラインづくりが進んできました。その後2007年には、厚生労働省が終末期医療の決定プロセスに関するガイドラインを出し現在の流れにつながっています。
全国で統一の制度はないですが富士市を含む静岡県内では、市役所や医療機関で相談できる窓口があり、アドバイスを受けられる場合がありますので一度相談してみてはいかがでしょうか。
葬儀社から見た延命治療の現場
私たち葬儀社も、延命治療を行った方のお葬式、行わなかった方のお葬式、両方を経験し
てきました。
- 延命治療をした場合
メリットは、できる限り医療をした。という安心感があります。でも、本人が望まなかった場合は苦しむ時間が長くなることもあり、家族の費用負担も増えます。 - 延命治療をしなかった場合
本人の自然な最期が迎えやすく、家族も意思を尊重できます。穏やかに過ごせるケースが多いですが、もっと治療してほしかった…と後から思う家族もいるかもしれません。
大事なのは事前に家族や医師と話して意思を共有しておくことです。これだけで本人も家族も安心して最期の時間を過ごせます。
まとめ
尊厳死宣言書や延命治療の意思表示には、現在の日本では特別な法的拘束力があるわけではありません。そのため書いておけば必ずその通りになるとは限りませんが、医師やご家族が治療方針を決める際の大きな参考資料として扱われるケースが多いとされています。
尊厳死宣言書や延命治療の意思表示は、「生きることを諦める」ものではありません。自分らしい最期を迎えるための準備です。
富士市では相談できる窓口もあり、書面として残しておくことで、後から迷ったり後悔したりするリスクを減らせます。
医療の進歩に合わせて、最期の過ごし方を考えることは自分への思いやりであり、家族への思いやりでもあります。ぜひ早めに考えてみてください。