銀行口座の凍結と解除の流れ|相続・仮払い制度・静岡富士市での手続きポイント
「銀行口座って、亡くなったらすぐに凍結されてしまうんですか?」
葬儀社で働いていると、ご遺族の皆様からこの類のご質問を本当に数多くいただきます。私の経験では、ご相談内容のベスト3に入るほど多いお問い合わせです。
専門家ではない立場ではございますが、自分なりに調べた内容と、現場で聞いたりした実例を交えながら、銀行口座の凍結と解除についてできるだけわかりやすくご説明させていただきます。
銀行口座が凍結される主なケース
銀行口座が凍結されるのは、主に次のような場合です。
① 名義人の死亡
銀行が名義人様の死亡の事実を知ると、相続トラブルを防止するため口座を凍結いたします。
凍結されますと、入出金や振込、口座引き落としなど、すべての取引が停止されます。これは相続人の皆様の権利を守るための措置です。
② 判断能力の低下(認知症など)
認知症などで判断能力が著しく低下された場合、ご本人様を守るために口座が凍結されることがございます。
この場合、解除には成年後見制度のご利用が必要となります。
③ 債務整理や犯罪被害
借金整理や詐欺被害などの通知が銀行に届いた場合、不正利用を防止するため、口座を一時停止するケースがございます。
凍結解除(相続時)の流れ
相続による凍結を解除する場合、一般的には以下の手順で手続きを進めます。
① 銀行への連絡
まずは口座のある銀行に相続が発生したことをご連絡ください。
支店窓口に直接お越しいただくか、電話でのご連絡も可能です。この際、相続手続きに必要な書類について詳しく教えていただけます。
② 必要書類の準備
銀行から指示された書類を揃えます。一般的には以下のようなものが必要です。
- 戸籍謄本(被相続人の出生から死亡まで、相続人全員のもの)
- 印鑑証明書(相続人全員分)
- 通帳・キャッシュカード
- 銀行印
- 遺産分割協議書または遺言書(ある場合)
書類の種類や通数は銀行によって異なりますので、必ず事前にご確認ください。
③ 解約払い戻し、または名義変更の選択
口座を解約して払い戻しを受けるか、名義を変更して口座を引き継ぐか、どちらかをお選びいただきます。
ご家族の状況やご意向に応じて、適切な方法をお選びください。
④ 手続き完了
書類に不備がなければ、通常1〜2週間程度で手続きが完了いたします。
ただし、相続人の数や書類の状況によっては、もう少しお時間がかかる場合もございます。
仮払い制度について
制度の概要
以前は遺産分割協議が終わるまで口座からお金を引き出すことができませんでした。しかし、019年7月から仮払い制度が整備され、状況が大きく改善されました。
この制度を利用すれば、遺産分割前でも一定の金額を引き出すことができます。
引き出せる金額
次の計算式で算出した金額まで引き出せます。(上限150万円)。
相続開始時の残高 × 1/3 × 法定相続分
利用のメリット
この制度を利用するメリットは、葬儀費用や当面の生活費に充てられることです。相続開始直後の経済的な負担を軽減できるのです。
実際に、この制度を利用されて安心されたご遺族様を数多く拝見してまいりました。
静岡県富士市での手続きのポイント
法律や制度は全国共通ですが、地域によって若干の特徴がございます。
地域金融機関の対応
静岡銀行をはじめとする地域の金融機関では、相続窓口の対応が比較的スムーズな印象がございます。
富士市内の支店では、相続専門の担当者が直接ご案内してくださることが多く、書類の確認や手続きの不安を軽減していただけます。
窓口への相談
わからないことがございましたら、積極的に窓口でご相談されることをおすすめいたします。
現場でお聞きした失敗談
葬儀のお手伝いをする中で、次のようなトラブルをよくお聞きいたしました。
公共料金や保険料の引き落としトラブル
- 公共料金や保険料の引き落とし口座が凍結され未払いになった
- 戸籍謄本を揃えるのに時間がかかり手続きが長期化した
- 相続人同士で意見が合わず解除が何カ月も進まなかった
このような事態になってしまう可能性も考えられるため、なるべく早くに対応したほうがよいと思います。
よくあるご質問
葬儀の現場でいただいたご質問をまとめました。
Q1. 亡くなったことを銀行に知らせなければ凍結されないのでは?
A. 一時的には使用できる場合もございますが、戸籍の記録などから銀行はいずれ把握いたします。
そのため預金を引き出しますと不正出金とみなされる恐れがございますので、必ず正規の手続きを行ってください。
Q2. 仮払い制度はどの銀行でも使えますか?
A. 原則として全国の金融機関で利用可能です。
ただし、必要書類や具体的な対応は銀行ごとに異なりますので事前に確認したほうがよいでしょう。
Q3. 他県の銀行口座も富士市から手続きできますか?
A. はい、可能です。
最近は郵送やオンラインでの対応が増えており、遠方の銀行でもスムーズに手続きができるようになっております。
手続き時の注意点
スムーズに手続きを進めるため、以下の点にご注意ください。
- 必要書類は銀行ごとに異なるため事前確認が必須
- 公共料金や保険料の引き落としは別口座にしておくと安心
- 相続人全員の同意が必要な場合がある
- トラブルは早めに専門家へ相談
まとめ
銀行口座の凍結は突然やってまいりますが、流れや制度を知っていれば、慌てずに対応することができます。
葬儀の現場での経験からも、事前に知識を持っておくことが、ご遺族の皆様の安心につながると実感しております。
大切な方を亡くされた直後は、様々な手続きに追われて心身ともにお疲れになることと存じます。どうか無理をなさらず、一つひとつ丁寧に進めていただければと思います。