金華堂コラム

今回はちょっと法律寄りのテーマをお届けします。

「相続放棄」や「限定承認」という言葉、ニュースやドラマで耳にしたことはあっても、実際にどういうものかはよく分からない方が多いと思います。

しかしこれらは、相続が始まったその日からタイムリミットが走り出す制度です。

静岡県富士市の方でも全国共通、基本ルールは同じです。

3か月の「熟慮期間」が運命を決める

相続が発生すると、法律上の選択肢は3つあります。

• 単純承認：財産も借金もすべて引き継ぐ
• 相続放棄：一切の権利も義務も受け取らない
• 限定承認：財産の範囲内でのみ借金を返す

この選択は、相続が始まったことを知った日から3か月以内に決めなければなりません。これを「熟慮期間」と呼びます。
期限を過ぎると自動的に単純承認とみなされ、借金もすべて引き継ぐことになります。

「延長できますか？」という質問

実は、期間内であれば家庭裁判所に「熟慮期間の伸長」を申立てることができます。

「財産や借金の全体像がつかめない」「遠方の不動産や預金があり調査に時間がかかる」といった理由がある場合は、諦めずに申立てをしてみる価値があります。ただしこの申立ても、3か月以内に行う必要があります。

手続きの流れ

• 財産と相続人の調査
  預金、不動産、借金などを確認。相続人も戸籍で全員把握します。
• 必要書類の準備
  申述書、亡くなった方の戸籍、住民票除票、申述人の戸籍など。
• 家庭裁判所に申立て
  富士市の場合は静岡家庭裁判所富士支部が窓口です。
• 裁判所からの照会書に回答
  意思確認のための質問状が届くので返送。
• 受理通知の受け取り
  相続放棄なら「相続放棄申述受理通知書」、限定承認なら決定書が届きます。

所要期間は、相続放棄で2〜4週間ほど、限定承認は半年以上かかることもあります。

地域による違いは？

制度の中身は全国共通ですが、細かい実務は地域で変わります。

例えば富士市の場合、戸籍や住民票除票は市役所で取得し、除籍謄本など一部は郵送請求が必要となります。コンビニ交付は一部書類で利用可能です。

よくあるQ&A

まとめ

相続放棄も限定承認も、「相続開始を知った日から3か月以内」という期限が最大のポイント。

富士市の方も全国同じルールです。

大事なのは、「期限を知って、早く動く」ことです。迷ったら家庭裁判所や専門家に相談することをおすすめします。

相続はある日突然やってきます。知っているだけで、守れるものがあるのです。