金華堂コラム

金華堂コラム

無宗教のお葬式という選択肢 〜私の経験を通じて〜

増えている「無宗教葬」という選択

最近、「無宗教のお葬式」を選ぶ方が少しずつ増えてきています。無宗教葬とは、「宗教に縛られない自由なお別れを実現する方法の一つ」のことです。

お寺様など宗教者とのお付き合いがない方にとって、お葬式のかたちは一層悩ましい問題かもしれません。葬儀社にお寺の手配を頼む方もいれば、火葬のみで済ませる方もいます。

中には、「自分たちでお別れのかたちを考えたい」と、宗教儀礼にとらわれない無宗教葬を選ばれるご家族もいらっしゃいます。オリジナルなお葬式とも呼ばれています。

私自身、このようなお別れのかたちに立ち会ってきた中で感じたのは、「お寺離れ」や「墓じまい」が進む中、今後のお葬式の在り方に不安を感じている方が増えているということです。

「お寺離れ」や「墓じまい」が進む背景

なぜ「お寺離れ」や「墓じまい」が進んでしまうのでしょうか。主な理由として以下が挙げられます。

お寺との付き合いが負担に感じる理由

  • お墓の維持管理が大変:年間管理費や修繕費の負担
  • お寺との長い付き合いが精神的にも金銭的にも負担:お布施や行事への参加など
  • 自分たちの子どもに迷惑をかけたくない:次の世代への責任を考える

このような思いから宗教者に頼らない選択をする方がいます。

一方で抱える不安や葛藤

しかし一方で、こんな声も実際には多く聞かれます。

  • 「お寺にお経をあげてもらわないと成仏できないのでは・・・」
  • 「親戚に『なぜお坊さんが来ていないのか』と聞かれたらどうしよう・・・」

そんな葛藤を抱える方も少なくありません。

無宗教葬を選ばれたご家族のエピソード

あるご家族は、「知らないお寺さんにお願いしたけれど、お経がうまくなくてがっかりした」とお話しされていました。

また、「高額なお布施を言われるがままに払ったけれど、納得感がなかった」と振り返る方も。

戒名をもらったものの、「故人の人柄と合っていない、意味も分からないまま・・・」というご意見もありました。

このような経験をした方々の中には、「だったら自分たちらしいお別れをしたい」と、別のお寺を探すのではなく、無宗教という選択肢に目を向けるようになるのです。

無宗教葬でできること

「無宗教葬=お経がない」というイメージを持つ方も多いですが、実際には故人やご家族の「理想のお別れ」をかたちにする自由なスタイルのお別れということです。

実際の無宗教葬の例

  • 故人の好きな音楽を流し続ける:クラシック、ジャズ、演歌など思い出の楽曲で
  • 親しい人たちとカラオケで歌って見送る:故人が愛した歌を皆で歌う
  • お孫さんや家族の演奏による音楽葬:ピアノやギターなど手作りの演奏
  • みんなで折り鶴や手紙を棺に納める:想いを込めた手作りのお別れ
  • 故人の実家に寝台車で立ち寄る:近所の方に最後のお別れをしてもらう

どれも、「心からのお別れ」を目指す温かいかたちです。これらも立派なお別れの形といえるでしょう。

無宗教葬の注意点と準備

無宗教葬を考えるうえで大切なのは、「周囲の理解」を得ることです。

事前に確認・準備すべきこと

  • 親族や関係者に丁寧に説明して納得してもらう:理由や内容をしっかり伝える
  • 菩提寺がある場合は、事前に相談し理解を得ておく:お墓への納骨について確認
  • 形式が自由な分、自分たちで流れをしっかり決める必要がある:葬儀社との綿密な打ち合わせ
  • 葬儀後の供養や納骨の方法についても、あらかじめ考えておく:永代供養や散骨なども選択肢

特に、先祖代々のお墓がある場合は「どこに納めるのか」「同じお墓に入れるか」などを確認しておくことが重要です。

無宗教葬のメリット

無宗教葬のメリットとしては主に以下の3つが挙げられます。

主なメリット

  • 故人やご家族の想いを最大限に反映できる:オリジナルな内容で心のこもったお別れ
  • お寺との予定調整が不要で、自由に日程が組める:参列者の都合に合わせやすい
  • お布施が不要な分、料理やお花などに費用を充てられる:限られた予算を有効活用

無宗教葬は、宗教に縛られない”自由なお別れ”を実現する方法の一つです。だからこそ、事前にご家族で話し合い、葬儀社ともよく相談して、どのようなお葬式が故人らしいか、後悔のないお別れとは何かを考える時間が大切です。

最後に

私たち金華堂としては、お寺様との関係を否定するつもりはありません。

ただし、「考える時間がある今こそ、自分らしいお別れのかたちを話し合ってほしい」ということをお伝えしたいと思います。

どのようなお葬式にするのか。誰にとっても避けられないテーマだからこそ、事前の備えが「心からの後悔しないお別れ」につながるはずです。

事前相談 内覧予約 お問い合わせ