金華堂コラム

デジタル遺品の整理 開かずのスマホとサブスク問題を防ぐ3つの備え


開かずのスマホ

「故人の交友関係を知りたいんです」

このようなご相談を受けることがあります。

昔なら手紙や年賀状の束、住所録をめくれば、「この人と仲が良かったんだな」と想像できました。

ところが今は違います。

交流の記録の多くはスマートフォンの中にあります。LINEのトーク、写真フォルダ、SNSの投稿・・・そこはまさに現代の玉手箱です。

いざ開けようとすると立ちはだかるのが暗証番号です。本人しか知らない4桁や6桁の壁に阻まれ、「指紋認証もできないし・・・」と途方に暮れる方も少なくありません。

白い煙が出るわけではありませんが、気持ちとしては“プシュー”と抜けるような感覚になります。

思わぬ落とし穴は「お金」

暗証番号の壁で困るのは、交友関係の確認だけではありません。

「スマホから支払っているサブスクが止められない」という相談も珍しくありません。

クラウド保存、音楽配信、動画サービス・・・数百円から千円台の引き落としが毎月続きます。

最初は「まあ少額だし」と思っていても、半年後に合計すると意外な金額になります。

「このお金があれば旅行に行けたかも・・・」と嘆くケースもあります。

中には、ゲーム内課金が止められないケースもありました。そして解約手続きの手がかりを一緒に探すことになります。

デジタル遺品は迷路だった

こうした事例からわかるのは、デジタル遺品には大きく二つの難しさがあるということです。

1つ目はアクセス権の壁です。暗証番号やパスワード、二段階認証は、セキュリティを守る盾であると同時に、残された人を締め出す門番にもなります。

2つ目は情報の分散です。写真はスマホ、契約情報はクラウド、連絡先はSNS、支払い情報はアプリ・・・というように、情報があちこちに散らばっています。

紙の時代なら机と押し入れを探せばだいたい片付きましたが、今は押し入れが空中に何十個も浮かんでいて、そのいくつかに鍵がかかっているようなものです。

迷宮攻略の3つのカギ

ではこのデジタル迷宮に迷い込まないために、生前にできる備えを3つにまとめます。

1. 大事なパスワードは安全に残す

紙に書いて金庫に入れる、パスワード管理アプリを利用するなど、いざというとき家族がアクセスできる形を作っておきましょう。

2. 契約サービスの一覧を作る

サブスク、クラウド、ネットバンクなど、契約・利用中のサービスはリスト化しておくと、解約や引き継ぎがスムーズです。

3. 信頼できる人に“手がかり”だけ伝える

全部を渡す必要はありません。「ここを見れば鍵がある」というヒントだけでも共有しておくと安心です。

デジタル遺品は、思い出と同じくらい手続きやお金に直結する現実的な問題です。ほんの少しの準備で、残された人の手間と心労を大きく減らせます。

スマホやクラウドに詰まった思い出を「開かずの玉手箱」にしないために、今のうちから迷宮攻略のカギを用意しておきませんか。


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